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フィクションの妄想話。稚拙な文ですんませんが。


俺が、親父を意識し始めたのはいつからだろうか。
20歳のころまでは親父の存在は、ただうざいだけだった。いつもは言葉は少なかったが、俺と何かを話すたびに口げんかなんてしょっちゅうだった。
俺にプライドを傷つけられてかっとなった親父に時には、殴られたりもしたものだ。ぶっとい腕でおれの頬や頭とか殴られたこともあったし、蹴りを入れられたこともあった。当時は本当に親父のことなんて大嫌いだった。
親父は土木作業員で日々肉体労働をしているため、腕の筋肉とかは鍛えられてたし、喧嘩なんてしても勝てっこない。休みの日は学生のころからやっていたラグビーを町のチームに入って続けていたから、年の割りに体力が落ちているというわけでもなかったし、周りの中年に比べたら体のコンディションもいい感じに保たれ、精力旺盛といった体育会系の雰囲気を出していた。
それでも、俺は親父が嫌いだった。

俺は、22歳のころ男に目覚め、何人かの男と体の関係をもつことがあった。なぜ、目覚めたのかは分からないが、女のことを考えるより男のことが気になってしょうがなかったのだ。理由なんて無い。女のことを考えても全く興奮しないのだ。

はじめは嫌悪感で一杯だったが、徐々に受け入れるようになった。気持ちいいことも体験できたが、少ないながらいくら男と関係をもっても何か満たされないものがあった。何かが頭にひっかかっていたのだ。しばらくはそれが何なのかわからなかった。

26歳になって自分の好みの男がだんだん明らかになっていくにつれて、俺が求めているのは、体ががっちりしている男、筋肉だけでなくいい具合に肉もついてる体、俺のことをぐいぐい引っ張ってくれる兄貴的存在だった。しかし、おれの好みに合致する男は現れてくれず、気持ちがすぐ冷めてしまい、俺ってなんでわがままなやつなんだとさえ思った。

ある日、車で10分ほどの実家に帰り、久しぶりに両親に会った。母親はおれのために夕食を作ってくれ、その間、俺は親父と二人で居間で話をしていた。
「仕事は順調なのか」
「まあな。親父はどうなんだよ」
「相変わらずだな。若いやつらがもたもたしてるから俺が動くことも多くてな。」と苦笑いをしながらたばこをふかす。
「親父、あんま無理するとぎっくり腰になるぜ」
「あん?問題ねぇよ。じっとしてるよりましだ」
などと、平凡な会話を交わす。

やはり久しぶりに会うと親父も俺も穏やかに会話ができる。たわいの無い話をしながら俺は、親父の体をなんとなく見ていた。改めて見ても、おやじの体は50歳にしてはいい体をしている。腕は太いし、タバコを持つ指は太く、肩幅も広くて胸板も厚い。そんなに中年太りもしている感じもない。足だってラグビーを続けているためぶっとい。でも、その時も特に親父に何か感情をもつことはなかったのだ。

夕食を家族でしたあと、俺は住んでいるアパートに戻った。

しかし、一人になって何か気になってしょうがなかった。親父のあのがっちりした体や、俺のことを気遣ってくれたしゃべり方、笑った親父の顔を思い出だしたら、なぜだか胸がきゅんとしめつけられるような感覚に落ちたのだ。

なんだ、なんだこの気持ちは?親父のこと考えたら落ち着かなくなってきた。なんで、こんな気持ちになるんだよ。あんな嫌いだった親父に。

俺は、そんな気持ちを拒絶しながらも、親父のことを眠りにつくまで考えてしまっていた。

つづく
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